夫婦で不動産を購入するとき、登記簿にのせる名義を決めなくてはなりません。
夫の名前だけにするのか、夫婦連名にするのか、迷ってしまう方も多いでしょう。
では、単独名義と共有名義にはどんな違いがあるのでしょうか?
この記事では、単独名義と共有名義の違いやそれぞれのメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
単独名義
不動産の所有者が1人であり、その人の名義で登記される方法です。
単独名義の場合、不動産の所有権や責任は一人の所有者に帰属します。
例えば、夫が住宅ローンを組んで不動産を購入した場合、その不動産の登記名義は夫の単独名義で登録されます。
この場合、夫が不動産の管理や売却などの決定を行います。
共有名義
複数の人が出資して不動産を購入し、その出資した割合に応じた持ち分で登記される方法です。
共有名義では、出資割合に応じて所有権や責任が分担されます。
例えば、夫と妻がそれぞれ2,500万円ずつ出資してマンションを購入した場合、夫が50%の持ち分、妻が50%の持ち分で共有名義となります。
共有名義では、共同所有者全員が不動産の管理や売却に関与する権利と責任を持ちます。
共有名義の場合、夫婦や家族間での共同購入や相続によって不動産の所有権が分かれることがあります。
共有名義の利点としては、財産保護や相続における安定性が挙げられます。
一方、共有名義では共同所有者全員の同意が必要な場合もあるため、意思決定のプロセスが煩雑になる場合があります。
相続税を節税できる
夫婦共有名義の不動産は、一方の配偶者が亡くなった場合でも、遺産として相続されます。相続税は遺産の価値に対して課税されるため、不動産の名義が共有名義であれば、相続税の節税効果があります。
共有名義の場合、不動産の価値の一部を持ち分として所有していることになりますので、相続税の課税対象となる遺産の額が減少し、節税効果が期待できるのです。
買える不動産の金額が増える
夫婦が共有名義で不動産を所有する場合、二人の所得や資産を合算することで、住宅ローンの審査や買える不動産の金額が高くなるメリットがあります。
金融機関は個々の所得や資産を基にローンの審査を行いますが、夫婦の共同所得や資産を考慮することで、借り入れ可能な金額が増えることがあります。
共有名義で不動産を購入することで、より魅力的な物件を選ぶことができる可能性が高まります。
売却するときの控除額が増える
夫婦共有名義の不動産を売却する際には、特別控除の特例を活用することができます。
特別控除では、居住用財産(マイホーム)の売却に対して最大で3,000万円の控除が適用されます。
しかし、夫婦2人の共有名義の場合、この控除額が倍増し、6,000万円まで免除されます。
売却には共有者全員の承諾が必要
共有名義の不動産を売却する際には、所有者全員の合意が必要です。
つまり、他の共有者の承諾なしに不動産を売却することはできません。
例えば、夫婦で夫と妻でそれぞれが5割の持分を所有していた場合、夫婦の同意がなければ売却はできません。
不動産売却の手続きでは、共有者全員の署名や捺印が必要となります。
この制約から、共有名義の不動産は売却が制限される可能性があります。
共有者の相続による問題
共有名義の不動産の場合、共有者の一人が亡くなると、その持分は相続の対象となります。共有者の相続人が複数いる場合、元々2人の共有者だった不動産が3人、4人と増える可能性があります。
その結果、不動産売却時などに共有者全員の意見がまとまらない場合が生じることもあります。
贈与税の課税対象となる可能性
共有名義の不動産の場合、一方の共有者がもう一方に対して経済的な支援を行う場合、贈与税の対象となることがあります。
例えば、共有名義者の一方が収入がなくなり、もう一方がその分の住宅ローンを負担する場合、贈与とみなされる可能性があります。
このようなケースでは、贈与税が課されることがあります。
余分な住宅ローン諸費用が発生する可能性
不動産の共有名義化に伴い、住宅ローン契約や登記手続きに関連する諸費用が増加することがあります。
例えば、事務手数料や登記手数料などがそれぞれの共有者ごとに必要になる場合があります。
これにより、契約や登記にかかる費用が増加する可能性があります。
ご夫婦で不動産を共有名義にすることには税制上のメリットもありますが、売却や相続時にはいくつかのデメリットが生じる可能性があります。
特に離婚などの場合、共有不動産に関する合意が難しくなることもありますので、注意が必要です。
共有名義の変更や解消には共有者全員の協議が必要であり、そのために時間がかかることもあります。
不動産の共有名義を選ぶ際には、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解することが重要です。
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